猛獣殺し

年末地獄の連戦が終わり、何とか今年の仕事をあげました…orz

と、言うわけで新メカについて順次語っていく予定。

今日のお題は第7話で登場した市民軍の火力支援型Strv"Pz85 ズヴェロボウイ"です。
名前から察するとおり元ネタはあの「猛獣殺し」から。WW2でソ連軍が投入した大口径152ミリ砲を積む自走砲、Su-152「ズヴェロボウイ」のことです。
弾速は遅いがその質量と炸薬量の多さで力技にドイツ戦車軍を粉砕したこの重自走砲から名前を頂戴しました。

共通車台に異なる装備を載せて複数のタイプを開発する市民軍車両開発部のコンセプトにのっとって、この車輌も「カイラー」をベースにしています。
元々国境線の要所に存在する要塞攻略のために開発された車輌ですが、開戦初期にケントゥリオン・ラインがアルナスル王国の裏切りによって突破出来たことから必要性が薄れ、しばらく計画は凍結されていました。しかし、その火力が拠点攻略の支援砲撃に有効であることと、王国側のStrvの数がそろってきたことからカイラーの後方支援のパートナーとして開発が再開されたのです。
当初152ミリの榴弾砲を装備することが計画されていましたが、計画の凍結などの混乱も加わって装備砲は二転三転します。重ロケットランチャーの装備なども考えられましたが、カイラーの改造型であるロケット砲装備型「オプロート」の成功でキャンセルされます。
度重なる設計変更の結果、開発は遅れ王都陥落には間に合いませんでした。
最終的に、海軍が開発したロケット臼砲の開発を引き継ぐ形で380ミリロケット臼砲の装備が決定し、それに伴い特徴的な左右非対称のシルエットが形作られます。この臼砲は、弾体自体に推進力を付加した大型のロケット砲弾を発射するもので、砲身はごく短く発射ガスは砲身前方の穴から排出される方式です。
380ミリの大型砲弾は200kg近くの炸薬量があり、発射速度は遅いですが内蔵されたロケットモーターで加速して5キロ以上の射程を確保しています。その威力は絶大で、爆発力に加えて砲弾そのものの重量が生み出す落下による貫通力によって強化べトンを易々と貫通出来るため、トーチカなどは一撃で粉砕可能でした。
また、Strvに対してもその火力は有効で、実戦テストではただ一発の砲弾で3両のサブラを戦闘不能にしています。
オフセットされた砲はスライド式の砲台ユニットに載せられ、その移動で車体の衝撃吸収機構では抑えきれない反動を相殺しています。脚部も、その強大な衝撃に耐えられるようにスピゴットとは別の意味で強化されています。
車体右側のブロックはコクピットが収納されており、前面装甲だけはカイラーよりも強化されてマダンの155ミリ砲弾に耐えられる強度を誇ります。ただ、その重量はかさみ、バランスの悪化を緩和するため側面装甲はかなり犠牲にされました。しかし、実戦では砲撃支援が目的なので支障はないと判断されたのです。
また、頭部の砲撃用センサーも高品質のものが装備され、カイラーとは比べ物にならない射程での攻撃を実現しています。


このズヴェロボウイの武装である「ロケット臼砲」はあのシュツルムティーガーの装備したアレです。デザイン中に元ネタのJu−152が装備した152ミリ砲では見た目的にあまり差別化出来なかったので、極太のこれを選びました。左右非対称のシルエットも、今までStrvにはなかったシルエットになって気に入っています。