偉大なる白熊の父

WARLOCKのアル・ゴス氏に続いてまたエアレース界の偉大な存在ライル・シェルトンが世を去りました。
http://www.airrace.org/indexJS.php
４月８日に亡くなられたそうです…。
かつて６度リノを制し、F８Fベアキャットの改造機レアベアを作り上げた男。時速８５０キロのレシプロ機世界記録を打ち立てたのも彼です。
不肖ながら、自分の作品の中で打ち破ろうとしていたのは彼のその記録なのです。

彼にはお会いしたことはありません。でも去年リノで不思議な縁を得ることが出来ました。
いつも歓迎してくれるTシャツ屋さんのテントの一角に見慣れない小柄なご婦人が本を並べていました。その表紙にはかつてのレアベアの姿が。
彼女はライル・シェルトンとその仲間達がレアベアをスクラップ同然の姿から再生し、さらには最強のレース機にしていく過程をつぶさに取材し続けた人だったのです。並んでいた本はその成果でした。
http://www.amazon.com/Racing-Gold-Story-Lyle-Shelton/dp/1434366197
彼女に挨拶し、自分のレアベア特集号を手渡すと、彼女はもう一冊いただけないかと尋ねてきます。その理由は「病床のライルにこれを見せてあげたい」でした。
勿論断る理由なんかありません。それよりも伝説の人物に自分の本が渡ることの驚きと興奮で一杯でした。
自分はジョン・ペニーの駆るレアベアしか知りません。ライル・シェルトンは遥か彼方の伝説の存在でした。
その彼が本を見てくれたかどうかはわかりませんが、もし遥か彼方の極東の地で自分の愛機をとりあげた事を喜んでくれたならいいなと思っています。
ご冥福をお祈りいたします。