腺病質な猛獣

本編では、描きたいと思ってもページ数や展開の関係で省いているところがあります。漫画はテンポが大事なので仕方ない面もありますが、メカ好きとしては断腸の思いで削っている事もあるのです。
今のところなかなか本編に出ないのが整備シーン。メカ物の魅力の一つともなる見せ場ではありますが、今のところじっくり描くチャンスがなかなかありません。
そもそも機械と言うものは定期的な整備が必要であり、特に蛮用にさらされる兵器はこまめなメンテナンスが生死を左右します。よく整備兵とパイロットが仲が悪いなんてシーンが書かれたりしますが、実際のところ命を預ける愛機の整備で手を抜かれたりしてはかなわないですから、そんな険悪な関係はそうそう無かった様です。
で、戦車の場合は飛行機と違って乗員が自分たちの手で修理すると言う場面は多くなります。自動化が進んでも乗員が三人以下にならないのは野戦における手数の確保と言う意味も大きいのです。
かつての無敵戦車「ティーガー?」は手のかかる腺病質な兵器と言うことで有名です。大型で複雑なウェポンシステムなので、その取り扱いには慎重を要し毎日の整備が欠かせなかったといいます。ティーガーの有名なエースであるオットー・カリウス氏も著書の中でティーガーの強さの秘密として搭乗員が5名だった事に触れていますが、そこにはイザと言うトラブルの時に手数を揃えられると言うメリットも含まれているはずです。

ところで我等が主役メカ「マダン」はどうなのでしょうか?
実際問題としてマダンもティーガー同様手間のかかる厄介者と想像できます。強力な155ミリ砲の反動はサスペンションとして機能する腕や足を痛め、その関節部の消耗は激しいでしょう。また磁性群体によるヴェトロニクスの故障も整備員たちの頭を悩ませているはずです。
主要部の装甲は取り外しがきくモジュール装甲となっていますが、ネメシス隊のマダンは補給が乏しいので取り替えていません。特にボルト留めされているアップリケ・アーマーは被弾すると変形することで衝撃を吸収するタイプなので交換した方がいいのですがなかなかそうもいかないようです。

そのあたりの事情も含めて、近いうちに整備シーンをねちねちと描こうと思っています。